TOV黒夢






 TOV黒夢 --06





12なんて、中途半端な数にキュモールはなんの覚えはなかった。
だいたい、そんな少ない数の単位などキュモールは扱わないのだ。
だからキュモールは、何とか動かすことのできた眉間だけにシワを寄せた。

「わからないですよね。そうですよね。
 これは、貴方が関わった人間の死の数ですよ。ま、ここ三ヶ月の、私が知る限りですけどねー。
 そして単刀直入に言わせてもらえば、私は復讐にやって来ました。ハローハロー!
 冗談でもドッキリでもないけど大丈夫、命はとらないわ。だって殺人は嫌だもの!
 あなたと違って人の命は尊いって知ってるの!」

非常に明るく話す女。
怯えることも伝えられない男。
先の見えない残忍性は推測でいくらでも現実味を帯びる。

『や…やめてくれ!僕が悪かった!』
「大丈夫、死なないわ。死なせはしない。楽になんてさせないわ。
 貴方があの世に送った人たちが羨ましくなるくらいの体験をさせてあげる。」

キュモールの視界に入ってきた女の手は、優しく彼の頬を撫でた。
触れられた感覚はほとんどなかった。

『わかった!何が望みだい!?金か?地位かい?君の気持ちはわかった!これ以上僕に手を出さなければ望む物をあげよう!!
 人生を3回遊んで暮らせる価値のある宝石を渡すよ!だからもうやめるんだ!!』
「―聞こえないわ。」

声にならない声で必死に制止の言葉を紡ぐキュモールに、冷たい彼女の声が被せられた。


 ブツリ


そして、耳に届いたのは、嫌な音。

「聞こえない声の意味なんか知らないわ。」


 ブツリ


「聞こえないもの。ね!聞こえないもの!」


 ブツリ ブツリ


『な  何を―』
「貴方だって、命乞いなんか聞こえなかったんでしょう?」


 ブツリ


「だから、笑って殺したんでしょう?」













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2010/10/27

 綺麗ごとなんてジョウダンじゃない。



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