01:TOV黒夢
TOV黒夢 --03
室内に響くノックの音に、室内でワインのグラスを傾けていたキュモールは気分を害されたこと表すように眉間にシワを寄せた。
「…なんだい?」
そのイライラを露に、扉の向こうに声を投げる。
『…キュモール様、夜分に申し訳ありません。わたくし、イエガー様よりの使いでございます。』
潜められた声は聞き取り辛かったが、若い女は確かに「イエガー」の名前を出した。
「どこで誰が聞いているかもわからないのに、不用意に喋るんじゃないよ!
なんだいキミは?」
『わたくしは、今宵貴方様めを楽しませるようにと言伝てられました。高貴なる方にこうしてお声を掛けさせていただけるだけで、天にも昇る気持ちでございますが…是非に、奉仕する事のお許しを頂けませんか。』
「へぇ…汚い仕事の女かい?」
『いいえ、わたくしは貴方様に近しい身分の身、貴族の末席に名を連ねます。
ですが貴方様は雲の上にも近しい程高貴な方。…どうぞ名を聞かないでくださいませ。』
へりくだる声はキュモールの征服欲を程よく満たす。
それに、ここは仮にも城のすぐ近くに建てられている騎士の宿舎だ。
しかもキュモールのいる隊長格の部屋に通じる通路は、生半可な身分の人間はおいそれと入れない。
丁度酒でいい気分になっていたのだ。
武器も持たない女で遊ぶことに、何を躊躇うか。
「ふぅん…いいよ、鍵は空いてるよ。遊んであげよう。」
『ああ!ありがとうございます!』
感極まるような声の後に、静かに扉が開かれた。
そこにはマントを着て、フードを目深に被った女が一人。
「失礼いたします。」
深々と頭を下げる姿も申し分ない。
室内に足を踏み入れた女はすぐに扉を閉め、そしてフードをそのままにマントを開いた。
ほとんど肌着に近い黒のキャミソールのドレスが、程よく肉付きの良い体に纏われているのが露になる。
真正面からの視線を受け止めながら、女はマントを留める首の紐をほどき、そしてフードも上げてそれを床に落とした。
「…わたくしを、慰めていただけますか?」
紅い口紅を引いた口が乞う言葉。
キュモールは笑みを口許に浮かべて、寝室へと彼女を導いた。
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2010/10/27
明るい記憶。美しい思い出。
人を憎く思うことは罪でしょうか。復讐を成すことは悪でしょうか。
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