1:ペペロンチーノ



私は生きる。

根底も理由も無く、ただひたすらに。

他意を掃って我を通す。



私は生きる。



この血は、私のものではないのだから。











1.おいしいぺペロンチーノから唐辛子とニンニクをどけろ











緑。緑緑。

緑一色。



正面に広がる爽やかな森。

視線を泳がせれば、とても澄んだ青い空とそれよりも深い色の海が広がっている。


・・・さて、ここはどこなのだろうか?


むき出しになっている地面に腰を据えて、私はそっと腕を組む。
薄いブラウス一枚の格好では心許ないどころか、ひたすらに不安を覚えるほど寒い。
まずは記憶の整理から始めよう。





Q.今日私は何をした?


A.学校へ行きました。





そう。そうです。
私は学校へ行きました。

日常ですね。当然ですね。遅刻だったけど、それこそが私の普通ですね。
普通に2限目の授業を中断させて、授業を再開させて続けて受けて、昼ごはん食べて、友達の制服を売って、授業を受け―



てない!



そうだ。
体育の授業だったのに、何でいきなり私はこんなところにいるんだ?
ダサいが保温性には優れているジャージを着ようとして、制服を脱いでる途中で、そのまんまだ!





Q.着替えていて何がありましたか?


A.覚えていません。





絶望的じゃん。

私は突発性の夢遊病か?いや、そもそも寝ていないのだから夢遊病じゃないでしょう。

じゃあ・・・徘徊?

私そんな歳じゃねーですよ。



だめだ、どんなに考えても根本的な解決になっていない。
結局ここがどこなのか皆目見当もつかない。



私の位置から見えるのは、森、空、海。

プラス獣道。オプションで雑草。


ははは、なにコレありえない。

コンクリートジャングルはどこへ行った?
山の奥ですら廃れて存在する車の影は?
空気を濁す排気ガスは?


ああ・・・考えていても始まらない。





堂々巡りの思考を打ち切って私はすっくと腰を浮かせる。

スカートの内側に流れ込んでくる冷気を裾に付いた土埃と一緒に払い、とりあえず森に沿って歩き出す。

遭難をしたときはその場を動かないことが鉄則だけれど、残念ここは人の気配が欠片も無い場所だ。私がこんな場所に来てしまっていることを知っているのは、きっと私自身だけだろうから丁寧に捜索隊が組まれることもないし、気まぐれにヘリコプターが通るかと問えばそれこそありえない。

干からびろってか。

冗談じゃねぇー



ざくざくと草を踏みしめて進みつつ私は手ごろな木の枝を拾う。



まずは水だ。

飲料水の確保。比喩じゃなくて本当に干からびてしまう。



もしくは人間の確保。

突然訪れてきた芸能人すら泊めてあげる日本人の気質に万歳。
その恩恵に与ろうとする機会があるとは夢にも思わなかったけれど。





私、

遭難しました。












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2006/12/--

 人生の分岐なんて、いつも唐突でしかありません。


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