06:復活夢






 復活夢 --06





濃茶のコサージュ付き同色のキャスケット。黒いニットのハイネック。
五分袖膝までのバルーン裾のビビットカラーなオレンジワンピース。
黒いハイソックスに茶色いブーツ。
あはははは、とっても可愛い格好だ。
付属のアクセサリーも大変控えめかつ、服に合っていて可愛い。



えーと、コレを着ている女の子がいたら、私は手放しで褒めちぎると思うな。
うん、良いメーカーさんのものなのか服の生地もとっても触り心地がいいし、縫製も立派、仕立てに歪みも何もない、とっても高そうな服だ。
メーカーどころかブランド? って感じ?
あはははは、可愛いな〜。

……

あはははははは、可愛い〜
こんなにシンプルでありながら存在感のある服私知らないよ〜


………


箱から床へと引っ張り出したその服達を見下ろして、私は心の底から疑問を吐き出した。

「なんで、私にサイズぴったりなんでしょうかね?」
「おめー用なんだろ。」

そんな私の言葉にリボーンくんが返事をくれた。
…ですよねー。
それぐらいしか考えられませんよねー。
心の中で同意しながら私は、包装紙から丁寧に剥いだ伝票を指先で摘んで差出人の名前を見てみる。
そこには『沢田家光』と書かれていた。

へいへいへーい。
気のせいじゃなければ、家光さんって綱吉君のパパさんじゃなかったかな?

「…ハロウィン用の仮装衣装ですかね。
 ははははは、父さんったら何トチ狂ったことをしているんだろうね。」

言いながら、私は箱の中に残っていたメモを拾い上げてその文章に目を通し、笑顔のままそれを折って箱の中に戻す。


えーと、なんだったかな。


そうそう。たしかあの日、ランチアさんと一緒に私の事情のを聞いてくれたバジル君が、詳細を上司である家光さんに説明してくるって言ってた。
時期的に考えて、話を聞いてからの輸送ですか。そうですか。

「なんて書いてあったんだ?」
「『よければそれを着て母さんと一緒に写真を撮って、こっちに送ってくれないか?』って。
 リボーン、この家に空輸用の伝票はさすがにないよな?」

てきぱきと広げておいた服を畳んで箱に仕舞いながら私は笑った。
私は断じて、綱吉君に迷惑がかかりそうなことはしないっつーのに。

「なんだ、着ねェのか?」
「着ないよ。変態にカテゴライズされるだろ。」
「ツナ〜? 家光さんから何が届いたの?」

リボーンくんからの質問に即座に返答していたところで、奈々さんがこちらに。
私は慌てることもなく箱の蓋を閉める。
よし、彼女に中身は見えなかっただろう。

「んー、中は特に。母さんが洗ってくれたツナギを送ってくれって。
 俺暇だからついでに郵便局まで行って来るよ。」

笑顔で嘘なんか楽なもんだ。
私は綱吉君を守る!

「ママン、中身は可愛い服だったぞ。
 家光はそれを着たツナとママンのツーショット写真が欲しいんだと。」
裏切り者ぉぉぉ!!!

信じられんこのお子様!
私の努力を一瞬で無に返しやがった!!
ハッとして顔を上げたら奈々さんが「まぁ♪」と、とても可愛らしい笑顔をこちらに向けていた。

やめて、私あなたの顔に弱いの!

「だって、ママンに嘘はよくないと思ったんだもん。」
「やかましい!『もん』とか可愛い子ぶるな!
 母さん、俺、女装はちょと!!」

無駄かもしんないと思いながらも主張!

「ツナったら、おかあさんにも見せてくれたっていいじゃない。
 それに、ツナはまだ女の子なんだから女装じゃないでしょう?」
「俺の戸籍は男だし!!」
「あら!ほら、リボーンちゃん見て〜!可愛いわぁ〜!!
 でもこの配色…ふふ、私が初めて家光さんから服をプレゼントされた時を思い出すわね。」

ツッコミはスルーされたけど、箱から丁寧に服を取り出して眺めている奈々さんは本当に楽しそうで、そして話している内容も思い出話になっている。
願わくばこのまま、この服を着せるということを忘れてくれればいいんだけど!
ハラハラドキドキと微笑ましい状況を見守り続け、そこで私は気づく。


『逃亡』という手段を。


「おめー、オレから逃げられると思ってんのか?」

仄暗い考えを実行しようかどうかちょっと迷った瞬間、こちらに視線すら向けていないヒットマンから呪いの言葉を受け取った。
ハッハー、逃がしてくれないんだ? この子は私に何をさせるつもりなんだ!

「…もし、健気に逃げてみたら?」
「そん時は公開撮影会だな。」

こいつ ひっでー!
私は痛くも痒くもないけど、綱吉君には憤死ものになるってソレ!!
綱吉君の女装写真を確保して何をするつもりだ! 脅すのか!?

…私がここに残っても写真は撮られ、逃げても撮られる?


「…………」


私の努力が報われるかどうかと、綱吉君のプライドを天秤にかける。

なら、答えは一つ。


「母さん俺、山本んちに遊びに行ってくる!!」




リボーンくんの底知れぬ能力を知ってなお、私は逃走の道を選んだのだった。













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2010/01/26

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