07:復活夢






 復活夢 --07





「―健気じゃねーか。」

駆け出した私の背中に届いた楽しげな声に、ゾッと鳥肌が立つが…選んでしまったからには仕方がない!
部屋の扉を開けて廊下に飛び出すと玄関の方向には一人の女性が立っていた。
赤みを帯びた銀髪の美人さんは、確かビアンキさんだ。

リボーンくんにベタ惚れの!!

「悪いわね。」

綺麗な形のリップが妖艶な笑みの形に歪む。
そんな彼女の手にはロープが。

「これも、愛の為よ。」
「ぅ びゅわー!!」

立ち止まっていた私へと放たれたロープを仰向けにのけぞることで避ける!
のけぞったままじゃ格好の餌食になるので体を捻って床に手を着き、勢いに乗って壁側へと転がった。
そんな私の足が元にあった場所を走ったのは足枷だった。あぶね!
今の二撃は避けれたけど、この人はプロの殺し屋さんだったはずだ。
そんな人に真正面から挑むほど、私は馬鹿じゃない。
さー、どうするか。

「やるわね。」
「頑張ります!」

不敵に微笑む彼女に意気込みを叫び、私は今出たばかりの部屋に走って戻る。
彼女よりも恐ろしいリボーンくんがいるが、ここには奈々さんもいる。
そんな驚いた顔をしている奈々さんの前にまだ残っているワンピースに私は目をやった。

「イタリア紳士は、女の子には優しいと思っていたのに!!」
「―む。」

叫んだ私の視界の端でリボーンくんが動揺した。
その動揺のおかげだろう。
彼の手に掲げられていた元レオンくんと思われる鎖分銅がこちらに放たれること無く、一瞬間が空く。

それでも一瞬だ。

「―とう!」


 ドバゴッ


掛け声とともに、私は網戸になっていた庭への出口へと身を躍らせる。
見事はずれた網戸を踏みつけ、私は玄関前へと向かった。
背中から奈々さんの私を叱る声が聞こえて思わず謝りかけるが、お叱りは承知の物だと開き直っておくしかできない。

私は綱吉君を守る!!

「 …おまっ そこで何してやがる!?」

いざ道へ飛び出そうとしたら、想定外の人がそこにいた。
しかも、非難の怒鳴り声まで浴びせてくれるなんて…心が折れるだろ!!

「獄寺君丁度いいところに!」
「はぁ!? なんなんだ―」
「ハヤト!捕まえなさい!」

とりあえず盾になってもらおうと明るく声をかけた私に続いた、獄寺君の不審げな声が玄関の開く音と一緒に遮られた。
この声はビアンキさんだ。
ちぃ!このままじゃ挟み込まれる!!

「獄寺―  って、顔色が!?」

綱吉君のために逃がして! って言おうと思ったら、獄寺君の顔色が真紫になった!
えぇぇぇぇぇ!? 何、毒でも食べた!?

「ぐはーッ!!」
「卒倒!? ちょ、獄寺君!! び、ビアンキさん!弟さんが!!」


 ブ ゥ ン !


すごい勢いで仰向けに崩れる少年を必死に支えようとしてたら、なにやら空を切る不穏な音が耳に届いた。

「つ、捕まるかぁぁぁぁっ!!」

叫びながら、ぎりぎり支えていた獄寺少年を押し倒す!
受身もろくに取れなかった彼は、非常に可哀想な音を立てて地面に頭をぶつけていた。
すまない少年。君の犠牲は忘れない。
利害が一致しているということで、諦めてくれ!

音の正体は重石つきのロープだったようで、玄関の向こうの塀にぶつかっているのが見えた。
おとなしく少年の上で状況を観察している場合じゃないので、私はすぐさま彼の上から飛びのき、立つよりも早いと地面を転がって移動する。


 ガッ ガガッ


硬い音の正体は何かと見やれば、私が転がった後に残るナイフ数本。

「殺す気かあぁぁっ!!!」

思わず突っ込みながら、私は立ち上がって道の先へと本気ダッシュ!
怖い!怖いよ!! 何で命の危機まがいなこの状況!?

「逃がさないわよ!」

ビアンキさんの声が聞こえたので慌てて角を曲がる!
背後で

 ざくざくざくっ ぶしゅぅぅうぅぅっ

なんて不穏な音がしたのなんて、気にしない!
何度も言うが、殺す気か!?
いや、ともかく…どこか逃げる場所! 逃げ込める安全地帯はどこ!?
靴下のまま全力疾走という非常に辛い状態だが、これまた何度も言う通り綱吉君の尊厳の保守の為にも、私は頑張るしかないのだ。

えーとえーとえーと!





思いつかないぃ!!

この世界に対する環境情報の不足っぷりに半泣きになりながら、私はすぐそこに見えた曲がり角を思いきった勢いで曲がる。
リボーンくんという非常識な存在から逃げ切れる場所?
分かるわけないわー!!

 ドカッ

「わぁ!?」
「うわ―あぶね!」

T字路を直進した私が、突如隣から出てきた誰かにぶつかってしまった。
聞き覚えのある声のその人は、思いっきりバランスを崩した私の腕を掴んで私を支えてくれる。
長身の彼を慌てて見上げた私を見て、彼はニカッと笑顔になった。
私の中の綱吉君スイッチが入る。

「山本!」
「よー…じゃなくて、ツナ。
 どーしたんだそんなに急いで。」

私の呼びかけにすぐに反応して呼び名を変えてくれる彼に感謝だ。

「どーしたもこーしたもなくって、ちょっと今リボーンに追われてて!
 どこか逃げ込める場所知らないか!?」
「追われてるって…」
 
そこで視線を私の背後にやった少年は、迫り来る彼らを認識したのかすぐさま表情を改めてくれる。そして私の片手を引いて彼は走り出した。
うん、立ち話なんかしていられない。

「追いかけっこか?」
「罰ゲーム付きのな!」
「ハハッ、穏やかじゃねーのな。」
「相手が相手だし!!」

リボーンくんはこの体になってからは殴ったり蹴ったりはしていないそうだけど、やっぱり日頃の無茶ブリっぷりを覚えている限り、逆らうという愚行が恐ろしい。
それでもやっぱり、綱吉君も女装なんて嫌だろうし!
居候させてもらっている身としては受け流せない!!ホント!!

「まぁ小僧が相手じゃ、そーだよな。
 とりあえず、学校へ行ってみっか!」

私の片手を掴んだまま山本少年は加速する。
こけることは無いけれど、君のスピードは私には辛いよ少年!


…え? 何で学校?













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2010/11/24

 逃走中! …ただし課金は無く、賭けられているのは尊厳だ。
 アンケートの結果とコメントを照らし合わせてみると、皆さん女装をさせたいそうなので。
 逃走成功! → けど捕獲!  …の方向にします。 そしてまず、観客集め。(←酷い)


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