05:復活夢
復活夢 --05
ッギャー!! ふざけんな馬鹿がーッ!!
ドンッ ガシャーン
ドンドンドンッ
二階から突然聞こえた怒号と暴れる音。
発生源は考えるまでもない。
顔を見合わせることもせず、オレと獄寺はほぼ同時に部屋の入り口へと向かった。
制止の声なんか無視だ。
オレ達の優先順位は最初から決まっている。
「くっそ邪魔だどけ!野球馬鹿!!」
「一緒に行けばいいだけじゃねー?」
オレの方が一歩分早く出たんだ。
わざわざ道を譲るほうが邪魔だと思うけどな。
「十代目!!」
「大丈夫かツナ!」
バン ―ガンッ
勢い良く開けたドアは半分ぐらいで何かにぶつかって止められる。
手ごたえはドアの下…目線を下げると、白い服を着た肩が見えた。
ツナの肩じゃない。
力任せにドアを押し開けると、ベットの上に立っているツナと目があった。
少しだけ赤い両頬が気になったけど、元気そうで安心した。
「―あ、」
目があった瞬間に薄く笑みを浮かべてくれる少年へと愛想笑いを浮かべる間も無く、私は全身を投げ打ち両手で持って小さな子供を抱え上げる。
銃口の先が彼らに向いてたのは気のせいじゃない!
「わぁあぁぁぁっ!待ってスナイパー!!」
「邪魔してんじゃねーぞ。」
この場合の責任は自分にあるんで邪魔させてくれ!
胸元に抱えあげた小さな体は右手に持った銃を軽く掲げ、小さく舌を打つ。
控えてくれたみたいだ。よかった!
「・・・・・・じゅ、十代目―って、何でシャマルがここに!?」
「あーあー・・・えっと、獄寺くん?」
「ハイ!何でしょう十代目!」
イイお返事を有難う。
灰茶の髪をした少年・・・獄寺君は足元に転がるシャマルさんに向けていた視線をすぐにこちらに変えてくれる。その素早さに思わず感服する。
「んで、山本?」
「ん?どした?」
獄寺君の前にいた黒い髪の少年は山本君か。
うし、シャマルさんが潰れている今がチャンスだ。
「・・・リボーンくん、いいですか説明してもらっても。」
抱き寄せたままのリボーンくんにひそひそと話しかけると、彼は小さく息を吐いてくれた。
シャマルさんを除外しての話には賛成してくれるようだ。
よかった、本当によかった。
「ま、こいつらには必要だろう。
・・・ただ、最終手段は忘れるなよ。」
私のさっきの雄叫びも忘れないでやってください!
内心で絶叫しつつ私はリボーンくんを膝の上におろす。
私の手を離れたリボーンくんはすぐにベットから飛び降り、呆然と突っ立ったままの少年二人へと視線を向けた。
お二人さんは不思議そうな顔。
私は普通の綱吉君を知らないから、そりゃあ違和感があるんだろう。
シャマルさんとリボーンくんの話を聞いたところ、結構平凡で、それでいて器の大きいところがあるっていう素晴らしい子供だそうで。まだ断片的にしか聞いてなかった最中のシャマルさんのお馬鹿な発言で、事態が急発進してしまった。
私は余計な口を開かないほうがいいだろう。
神様仏様リボーンくん、何卒よろしく!
「コイツは一応ツナだ。だけど中身はツナじゃねぇ。
名前はっていうらしい。害意はねぇからな。
とりあえずツナが戻るまでソイツに協力しろ。」
間。
「・・・」
「・・・」
「・・・」
沈黙。
私を直視したままな少年達が、大変可哀想。
―ふっ 不親切極まりない説明ですな!
でも、何を追加して話せばいいのか分からない。
でももっと言い方っていうのがあると思う!!
「リボーンさん、それはっ・・・それは、十代目は十代目ではないということで?」
ぶるぶると全身を震わせる獄寺君。
ショックなのはわかる。私だってショックだからね。
「そうなるな。」
「十代目の体を、コイツが乗っ取ってるってことっスか!?」
あっ 私を指さす獄寺君にあからさまな敵意が。
しかもその隣の山本君の表情も、若干硬くなったように見えたよ!
愛されてるな綱吉君!
でもこの敵意は結構辛い。
この子ら中学生なのに、何この威圧感。
・・・
いやでもお姉さん負けないよ? 怯まないよ?
伊達に修羅場くぐってないからね?
反撃は自重するけどさ。
「これはの意思じゃねぇぞ、獄寺。」
「ンなこと関係ねぇ! てめぇ、十代目をどうしやがった!?」
ほう。私に説明を求めますか。
ふーん、ならリボーンくんとの設定を引き継ぎましょうかね。
「えーと獄寺君、正直に話していい?」
「馴れ馴れしく呼ぶんじゃねぇ!!」
知るか。
「・・・話を進める気があるなら黙ってもらえます?」
「何様だてめぇ偉そうに!!」
「優先順位は沢田綱吉君が一番でしょう。
彼の今後の生活の為にも協力をしてください。」
綱吉君の名前が出た途端、獄寺君はぐいっと無理やり言葉を飲み込んだ。
人の名前にここまで効能があるなんて。びっくりだ。
何はともあれ今のうち。
「突然かつ不本意に、自分はこの人の中にいました。私にも原因がわかりません。
ここに来る前後の記憶があやふやなんで・・・もしかしたら、私は死んでしまっているのかもしれませんね。」
この一言で獄寺君の表情が引きつった。
死後の世界なんてない。
そう信じている私が、そんなことを嘯く。
死んで、関われることなんて無いと思っている私が、正体のわからないものに生かされている。
生かされている結果が他人への迷惑。
・・・私、一体何に試されているのか聞いてみたいわ。
閑話休題。
「ただ私が原因で、綱吉君が帰ってこれないような環境にはしたくないんです。
協力をお願いするのは私のためではありません。あくまでも綱吉君のためです。
・・・力を貸してください。お願いします。」
言って頭を深く下げる。なので彼らの表情は見えない。
戸惑い上等。困惑当然。
でも現実なんで直視してください。
私は自分が一番大切な人間だけど、自分が原因な他人への迷惑なんて冗談じゃない。・・・自分が意図して起こした迷惑じゃない限り。
んでもって、それを関係無いと吐き捨てられるほど無責任な人間じゃない。
「おめーらよく考えろ。」
すぐ近くのリボーンくんの声に顔を上げると、彼は少年達へとその視線を向けていた。
帽子に乗っているレオン君だけが私に視線をくれる。
「こいつはな、その気になりゃあツナの体を盾にしてお前らを脅すことだってできんだ。」
んなっ!?
―わ、私にそんな気はないんだから、わざわざ警戒させるようなことを言うのは止めていただけませんかね!?
「だがはそれをしなかった。」
湧き上がった殺意を一瞬で凪ぎ消す一言に、私も少年達も呼吸を止めた。
・・・そんな選択肢は勿論あった。
でも、私の中ではそれは論外だった。
私が却下するのだから、実現しない計画。
それをあえてリボーンくんが明言するのは、私が選択しない意味をこの子達に悟らせようとしているのだろう。
・・・それを明確にされるのも複雑なんだけど・・・
本当に綱吉君のためと言うなら、私が悪役になって彼の環境の保持を強制することが一番手っ取り早い。
綱吉君のことを大切だという彼らは、きっと徹底して従うはず。
嫌々だろうが何だろうが。
でもぶっちゃけさ。
いつ元に戻るか分からない状況で、そんな針のムシロな環境に居続けるなんて冗談じゃないし。
人を精神的に攻撃し続けるなんていうのも冗談じゃない。
私が徹底しきれない。そんな確信がある。
彼の為ではない。
自分を擁護する意思。
偽善かもしれないけど、平和な日常ぐらい欲してもいいでしょ。
「責められるとわかっていてこいつはわざわざ頭を下げる。
望まねぇ状況だっていうのに、馬鹿正直にガチンコ勝負だ。
アンフェアに甘んじる何ざただの馬鹿か、重症なマゾヒスト・・・」
ひぃ! 赤ん坊の口から聞きたくない言葉が!
思わず戦慄する私にリボーンくんからチラリと視線が向けられ、彼はニヤリと笑った。
赤ん坊だけではない。少年達のものも独占状態だ。
「他はてめーらで考えろ。それでこいつが敵か味方か見極めてみせろ。」
・・・なるほど。
彼らの成長のために、私を『利用』するわけだ。
騒動の直前のリボーンくんの言葉に納得する私だが、少年達にはそういう訳にもいかないらしい。強い困惑の感情を、不服そうな表情に塗り重ねている。
「リボーンさん、十代目の中に別人が入っているっつーのは・・・コイツ、骸みてーな力を持ってるってことっスか?」
えーと、獄寺君が、私を指さしつつリボーンくんへと問いかける。
『骸』さんとやらは、人の体を乗っ取れると?
おいおい、随分奇天烈な人間が・・・・・・・・・あ、今の私もそうか。ハハ。
「獄寺、昨日の朝から今朝までツナはここに寝たまんまだぞ。
それまでにコイツが俺らの知らねー人間と接触したっつーのも、ありえねぇ。」
えーと、綱吉君の体を誰かが乗っ取れるような状況じゃなかった、みたい?
「骸のヤローが成りすましてるとか・・・」
「クロームが骸は寝てるって言ってなかったか?」
「うるっせぇな!可能性の話だろうが!!」
山本君が言う新しい人、クロームさん。骸さんの保護者?
寝てるってだけで、脅威に溢れるその人を除外できるのか。
「っつーか、・・・だっけか?」
「あ、ハイ。です。」
獄寺君に噛み付くように怒鳴りつけられてもどこ吹く風だった山本君が私へと向き直る。
先ほどの敵意に満ちた表情とは違う、飄々とした顔だ。
「あんたがツナの中に入ってるんだよな?」
「えー・・・みたいです。この体は、私の体ではありませんので。
リボーンくんいわくここに寝ていたのは綱吉君らしいし。」
「じゃあさ、そこにツナはいないわけか?」
「は?」
続けられた質問に、私は反射的に首をかしげた。
・・・そこ?
「ツナ自身はどこに行ってんだ?」
「・・・・・・あ。」
山本君から示唆された可能性に、硬直した。
そう、だ。
私は、私がこっちの世界に落ちたとしか考えてない。
私の精神はここ・・・綱吉君の体だ。
じゃあ、私の体である・・・あっちは!?
あっちに、中学生の少年が!?
「オイてめぇ!お前の体はどこにある!?
本当にし、しっ 死んだりしてんじゃねぇだろうな!?」
おっそろしい想像に全身から脂汗が滲むが、獄寺君からの言葉に正気に戻る。
「えっ!? うわわわっ えーと・・・むしろ私が死んで、とり憑いてるって考えたほうが綱吉君のためにはイイかもしれないデス!」
ちょっと正気とは違った。
ごめん、動揺してる。
「ハァ!?それどーゆー意味だ!?」
私がいた環境。
あの世界。
あ・・・あんな、ぱっかんぱっかん人が殺される世界の話何ざできるか!
この子たちにもリボーンくんにも、教育に悪い!!
「こっ ―こ、子供にはきかせられません!」
言ったら最悪な現実になりそう、コワイ!!
いや! 綱吉君はきっと、私と同居してるんだ!
たぶん、私がでしゃばってるだけ!
うん! きっとそう!!
・・・
ん?
異質な空気を感じ取って顔を上げてみると、少年二人が硬直してた。
リボーンくんまで無言。
なのに、視線だけはしっかりとこっちに。
「・・・えーと、です、ね? もしもし?」
「ん゛な゛ ッ ― !? ッ!?」
獄寺君が一声を発して後ずさる。
お、 おぉ・・・動揺してる。
「・・・・・・話を続けても?」
「オトナな俺に、是非詳しく話してもらおうか?」
両肩を覆うように腕を回されて引き寄せられたかと思ったら、左耳の傍で囁かれる。
不本意に身を寄せたのは誰かの胸板 ―って。
「ひっ ぎゃあああぁぁぁ!! なんで復活してんのアンタ!?」
「なんでって気絶しただけだからなァ。そう寝てもいらんねーって。
・・・強い女は嫌いじゃねぇぜ?」
「うわあぁぁッ!!リボーンくん助けてぇッ!!」
私の絶叫は『女』の一言を隠す為と、心の底からの懇願だ。
必死に押し離そうとする腕はびくともしない!
「な、テメっ 十代目の体に何してやがる!?」
私の精神的苦痛も察しろ少年!!
「俺はボンゴレじゃなくてだな、ちゃんに事情徴収してるワケだ。
聞き終わったらちゃんとおめーらにも説明してやっから。」
「おいコラおっさん!!」
「んー? どうした、チューして欲しいか?」
「いらん! 協力する気が無いなら帰れッ ―顔を寄せるな!!」
ビュ ゥン !
空気の摩擦音が聞こえると同時に私の視界が回った。
「・・・っおー、あぶね。俺じゃなかったら真っ二つだぜ?」
座っている状態から引き上げられるまま半立ちし、いつの間にか反転させられた私の視界には、ベットからやや離れた窓際まで下がって両手を軽く上げているおっさん・・・シャマルさんの姿が。
また、自分のパジャマの背中側にはしっかりと掴まれている感覚があり、至近距離には自分のものじゃない体温があることに気づく。
ついでに違和感。
視界の右端からシャマルさんに、竹刀が向けられていた。
「わっりーな。嫌がってるみたいだったから、ついだ。」
先ほどよりも離れた至近距離からの声は、山本君のものだった。
た、助けてくれたのか少年!ありがとう!
しかしこんな竹刀、どこに隠し持っていたんだ少年?
口には出さない内心の問いかけだ。返答が無いのは当然なので、私は顔の高さまで上げていた両手を下ろしてニヤリと笑うシャマルさんを見やる。
「へっ 野球坊主は答えを出したみたいだな。ハヤトはまだ無理かよ。」
「な、何が言いたいんだテメェ!」
「自分で考えやがれ。・・・じゃ、俺はコイツのことを調べとくぜ。」
くってかかる獄寺君に冷たく言い放ち、そして投げキッスを飛ばして彼はハンカチを振った。
・・・この体の髪の毛でも持って帰っているんだろうか。
「ちゃん、リボーン、チャオ♪」
そして彼は窓から飛び出してその姿を消した。
・・・ドアを使うという習慣は無いのか。
息をそっと吐いて私は視線を巡らせる。
至近距離には山本君、少し離れたところにリボーンくん、入り口らへんに獄寺君。
私の存在を知ってもらった。
そしてリボーンくんから協力して欲しいとの意思も伝えてもらった。
他に、私がするべきことはなんだ?
もう一度山本君へと視線を向けると、彼はにこっと笑顔を浮かべて私から離れ、そのままベットを降りていく。
「なあ。 は、ツナの体を守るって誓えるか?」
振り返りざまの質問。
少年の目元から消え口元だけに残っされた笑顔。
それだけの真剣さに、私も真面目に返す。
「守る。君達が敵になったって、私は守る。」
「・・・そっか。」
竹刀を片手に持ったまま腰に両手を当てて、彼はどこか満足そうに頷いた。
視線が柔らかくなる様子に私は思わず安堵の息を吐く。
「俺は協力するから、よろしくな!」
「あ、ありがとう! 少しの間、よろしくお願いします山本君。」
「ツナの体なんだから山本でいいって。」
んー、綱吉君がそう呼んでいたのなら努力しましょう。
「 ―ッ お、オレは認めねぇ!!」
突如、そう叫んだのは獄寺君だった。
怒りか何かわからないけれど、高ぶった感情に任せて握っているその両拳がブルブルと震えているのが見て分かった。
敵意丸出しの瞳に浮かれそうになった思考が落ち着く。
「・・・ごめん。君が決めたのなら、今すぐ認めてもらおうなんて思わない。」
「なんだと!?」
「認めなくてもいい。私を憎んでも恨んでもいい。協力しろとも言わない。」
いきなり仲良しこよしに丸く落ち着くなんて、私も思ってないから。
「ただ、私が綱吉君のために動こうとするのを邪魔だけはしないで下さい。」
「・・・・・・・・・」
獄寺少年が歯を食いしばる姿を見つめ続ける。
少年が私を睨むのだから、私は自分の意思を確かに伝える為に彼を見るのだ。
「―受け止めやがれ、。」
リボーンくんの声・・・って、え、名指し?
声の主が居たはずの彼のイスに視線をやるが、そこはもぬけの空だった。
「獄寺後ろだ!」
どがぎゃっ
「な うわぁっ―!!?」
山本君の声に視線を戻すと、どこからか生まれた鈍い音を認識すると同時に視界が暗くなる。
驚いたような声は、獄寺く ― ぎ、ぎゃっ
「ぎゃわぁ ―がふっ!」
視界を埋めたモノが勢いのまま私にぶつかってきて、それ共々、私はベットへと倒れこむ!轢かれた! 潰され、って重いぃぃ!!
硬くて温かいそれはきっとおそらく人間で、叫んだ人を鑑みて推測できるのは・・・まぁ十中八九、獄寺君だろう。
もがく間も無く、重さそのものはすぐに起き上がってみせた。
「 ぅ な、何するんスかリボーンさん!?」
私に後頭部を見せやがった。
「私に謝れアンタ!!」
「うるせぇ!十代目には詫びても、テメェなんざ知るか!!」
「ひ、人を跨いで見下ろしておきながらよく言えるな!
― って、ちょ、うしろ ぉ !!」
私を睨む少年の背に、小さな黒い影が飛翔していた。
「どーん。」
ガヅッ ― ズドッ
「がふゅッ!!」
「ぐぶっ!!」
影からの攻撃に獄寺君の体が私の体に落ちてくる。
私は肋骨が軋む衝撃に。獄寺君は蹴られた衝撃と私へとぶつかった衝撃に、お互いが奇妙な声をあげた。
肋骨もだけど鎖骨も痛かったよ!!
一瞬白目を剥いた気がしたぞこら!!
「 ぅっ うぐはっ は・・・いた・・・いぃっ」
「、獄寺、大丈夫か?」
あまりの痛みに止まったままの呼吸を再開させるために必死に声を紡ぐ。
心配ありがとう山本君!それに応える余裕が無いよ!
けど、この子の頭、心臓、直撃した。
絶対心臓直撃した! 下手したら死ぬぞ!!
「り、りぼーんくん、なにをっ」
「この方が手っ取り早ぇだろ。」
私に重なっている獄寺君の上に器用に着地したリボーンくんは、ニヤリと笑いながら小首を傾げてみせる。
一体何に対する手間を省いたのか説明していただきたいが。
「・・・医者不在の今に負傷するのって、馬鹿っぽいじゃないです・・・か・・・
・・・ぅお?・・・獄寺少年が、ピクリとも動かないんですが・・・?」
重いから是非ともどいて欲しい。
しかしまぁ、彼も被害者だ。
先ほどの強烈な効果音を思い出す限り、軽く意識も飛んでいるのかもしれない。
そう思うと同時にふっとわきあがった哀れむ気持ちは計り知れないほど深みがあった。それを素直に行動に表し、色素の薄い髪をそっと撫でてやる。
あらまぁ、随分と気持ちが良い髪ですこと。
がばっ
あ、起きた。
ちなみにリボーンくんは獄寺君が体を起こす半拍前にそこから飛び降りていた。
「・・・顔が変だぞ?」
「・・・赤いのか青いのかハッキリさせたほうがいいですよ?」
そう、山本君は見下ろし、私が見上げている獄寺君の顔色が大変奇妙なことになっている。
けれど、交互に投げた私達の言葉には返答が無かった。
やがて奇妙な表情が真っ赤に変わる。
「 ッ ッ ―!!??」
「あ、少年!」
石のように硬直していた体が跳ね起こされてベットから入り口側へと下がるけど、足元には丸まった布団が!
「獄寺!」
その勢いのまま傾いた獄寺君の腕を山本君が掴んで引き止める。
「おぉっ 山本君ナイス!」
「てめぇそのからだはいったいなんだコラァ!!??」
感心の声がかき消された。
・・・あ、そうか。
君が着地したのは私の胸元か。
「体?」
「十代目の体になんてことをしやがった!?」
「わ、私の意志ではなく―」
「ヤバイ病気を持ってるんじゃねぇだろうな!?」
「診断結果は微熱―」
「なー、何の話をしてんだ?」
「おめーはちょっと黙ってやがれ!」
「あの私まださっきのダメージが残ってるからベットの上で暴れないで・・・!」
「うぅぅう うるせぇ!!説明しろ!!」
ぐだぐだだ。
ぷちっ
「いい加減黙らないと上着脱ぐよ!」
「なっ 馬鹿ヤメローッ!!!!!」
「黙れっつってんでしょうがー!!!」
キレた私は悪くないと思う。
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2009/05/12
獄寺、ラッキースケベ発動。
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