04:復活夢
復活夢 --04
「十代目!お見舞いに参りましたぁ!!」
「よっ ツナー、見舞いに来たのな。」
「シャマルが来るまで面会謝絶だ。」
むごい!
思わず心中で叫んでしまうぐらい、リボーンくんはぴしゃりと言い放った。
言うや否や薄く開けていたドアまで閉められ、ベットに潜った私からはその声の主は見えなかったけれど、声の質は年若い少年のものだ。
綱吉君のお友達・・・十代目とか聞こえたんだけど、お友達?部下さん?
「えっと、彼らは?」
「ツナのファミリーだ。」
まだ家庭教師がついている、イタリアのマフィアのボスになる予定の日本の中学生に、すでにファミリーが。
しかも同年代くらいってことは、何この町。そんなにマフィア関係者が住んでいる町なのか?
ボンゴレさん傘下のマフィアさん勢ぞろい?
「アイツらは、ツナ自身が認めた自分の守護者だ。」
口の端を上げるリボーンくんから貰った言葉に、私は思わず表情を強張らせた。
すみません、噴出しそうになったのを堪えたんです。
守護者!
なんだか日本で聞いてると思うと結構恥ずかしいぞ!
「つ、綱吉君結構凄いんですね。
それと、さっきのシャマルさんがお医者さんですか?」
思い出してもちょっと笑いそうなので話題の転換を狙う。
「こっちの世界じゃトライデントシャマルつって有名だな。
こいつに治せねぇ病気はねーんだ。」
「ええーそんな大きなこと言える人・・・三叉矛って―」
『・・・ッリ、リボーンさん!十代目はそんなに重いご病気なのですか!!?』
うおっ びっくりしたー!まだドアの向こうにいたのかファミリー君!
ファミリー君はとんでもなく切羽詰った声だったけど、対するリボーンくんはため息一つ残してドアへと顔を向けなおした。
凄く面倒くさそうに見えたのは気のせいだと思ってあげたい。
「それをはっきりさせる為にシャマルを呼んだんだろーが。
おめーらに会わせるのは診察が終わってからだ。」
『ああぁ!おいたわしや十代目!!
オレが代われるものならいくらでも代わって差し上げるのに!!』
「・・・おいたわしいって生で聞くのはじめてかも・・・」
「黙ってろ。」
「ハイ。」
思わず感想を漏らしたら怒られた。
しっかしテンション高いなファミリー君。
どれだけ綱吉君に心酔してるの。
・・・いや、綱吉君がそれだけの器の人間ってこと?
思い至った事柄にぞっとするけど、同時に強い違和感が。
えーでも、リボーンくんの持ってた写真のパンツ一丁の姿が、ファミリー君の必死さのイメージと限りなく一致しない。
などと私がうんうん悩んでいるとリボーンくんが言葉を続けた。
「山本、獄寺、下におりてろ。」
ファミリー君達の名前を知ったことを認識するより先に、目の前の子供の声に宿る威圧感にハッとした。
ああ、強い命令を示す気配だ。
この子本当に何者なの?
察する自分も自分だけどねー
たいした間をおかずに踵を返したリボーンくんは彼専用だろうイスへとその身を沈めた。
「・・・・・・お二人さんは下りちゃいました?」
「聞く気が無いなら一発ブチ込んでやるだけだ。」
物騒な。
「後で、よければ彼らの紹介もお願いします。」
「当然だろうな。」
「ところで、シャマルさんはいつ頃来られるんでしょうね。」
ガラッ
ベットのすぐ傍の窓が突然開けられた。
顔を向けて絶句してる間に、窓の桟を跨いで男が一人入ってくる。
「チャオ、リボーン。呼ばれたから来てやったぜ?」
「ちゃおっす。」
センター分けした黒髪、少し悪い目つきに口元が微妙に笑みの形になっている、白衣を着た男。
っていうか不法侵入だよ?
あ、いや。常識排除。常識排除〜。
リボーンくんと気軽に挨拶を交わしたからには、この人は関係者なんだろう。
そしてこの訪問は私「綱吉君」のため。
「・・・ドクターシャマル?」
ベットから身を起こして彼へと向き直る。
不法侵入者だろうがかなりご高名なお医者様だ。腕も確かだそうだし。
腰と腹しか見えてなかった視界に、彼は膝を曲げて視線を合わせてくれた。
「悪いなボンゴレ、オレは女しか診ねーんだ。」
わしっ
むにむにむにむにむに
「・・・・・・・・・・・・・・・」
絶句。
そして私は右手右指の第二関節を折り、目の前の彼の上唇と鼻の下の間にある急所へと腕を突き出した。
メギッ
自分でも驚くほどの素早い一撃は気持ち良いぐらいのクリーンヒット。
あら、いい音ですこと。
白目を剥いて勢いのまま仰向けに倒れる彼を見届けて私はリボーンくんへ笑顔を向ける。
「警察を。」
「まぁ落ち着け、そいつはソレでも名医だ。」
「ドクハラにも程があります。法が裁かないというなら私刑です。
叩き潰します。」
出来る限り意識が無いうちに、玉でも竿でもどちらでも。
どちらもでも。
「おぉイテテ・・・随分恐ろしいことを言うじゃねぇか。」
小気味いい手応えだったのにもう回復しやがった。
私は彼へも笑顔を向ける。
「見知らぬ男に胸を揉まれた事があるなら許す。無いならご覚悟を、ミスター?」
「軽いスキンシップってヤツだ。」
「ひっこぬいてぶたのえさにされたくなかったら、謝罪を、ドクター?」
「・・・・・・・・・スミマセンデシタ・・・」
よし。
さすがにこの暴言は効いたらしく、彼は顔色を悪くして謝罪した。
よりにもよって平然と女の胸を揉むなど言語道断だ。
それでも、リボーンくんが名医と言うからには名医なんだろう。
世も末だな!
「・・・あー・・・ま、軽い脱水状態だがおとなしく水でも飲んでりゃ大丈夫だ。
微熱があるみてぇだがこれも心配は無用だ。ほたってりゃ治る。」
胡坐を組んで説明してくれる言葉に私は笑顔を深めた。
「・・・・・・・・・随分勿体無い名医ですね。
もっとスマートに女性にアプローチできないんですか、アナタ。」
彼がなんと言おうが、私の中で彼はもう女に飢えている可哀想な人にカテゴライズされた。この第一印象はしばらく拭えないぞ。
いくら感心したってね。はははっ。
「・・・おい、リボーン。コイツは誰だ?」
真顔になると格好いいのに勿体無い名医だこの人。
当然の疑問をリボーンくんへと向けると、彼はニタリと笑った。
「体はツナだ。一晩で中身と形が変わっていた。
話を聞いてみた限りソイツにも原因はわからねぇらしい。そうだろう?」
「・・・はじめましてドクター、です。」
私の怒りは水に流しておこう。
リボーンくんと話した通り、こちらへ来る前の記憶があやふやで説明できなかったのだ。
高熱の後特有の体のだるさ以外に私は変調を感じないので、結局はこのお医者様を頼る他は無いのだ。綱吉君のためにも。
「おまえさんが言うからには嘘はないんだろうが、ちょっとこれは無理があるんじゃねぇか?性別が変わるなんぞ俺だって聞いたことないぞ。」
私も初耳です。
初体験です。
「血でも唾液でも持ってけ。そうすりゃハッキリするだろ。
一晩中オレが傍にいたんだから間違いはねぇと思うがな。」
「触った限り健康状態に異常はなかったぜ。体液類の検査はオレの身内ですませられっけど、精密検査となると設備が足りねぇ。跳ね馬のところにでも行くんだな。
中身云々は・・・どうしたもんかねぇ。どう考えたってお前、お子ちゃまじゃねぇだろ。」
真っ当な中学生がいちもつを引っこ抜く発言するのって怖すぎるからねー。
「正解です。私、19歳でした。」
「で? そいつの体に入る原因はともかく、それまでお前さんはどこにいたんだ?」
「・・・地名が分かりません。」
これも本当だ。
あそこどこだったんだ。
「それでもそこにいる時は私の体でした。誰かの中に入ってるなんて初体験ですよ。」
「おっツナ、初体験いただきだな。」
う うわあぁぁぁ・・・
上手い事だと思って言ったのか、シャマルさんは少々下品な笑みを浮かべた。
そこに食いつくなオヤジ!!
むしろこーゆー反応に配慮して発言しなかった私が悪いのか!?
「・・・むしろこんなかわいい子で私が役得ですね。
りぼーんくん、この人を訴えた時の証人をよろしくお願いします。」
「いいぞ。」
脱力する上半身を根性で支えた私に仲間が出来た。
示談金を半死人になるまでむしりとってやるから覚悟しろオヤジが。
気を取り直す。
ついでに姿勢も正す。
「信じてもらえるか分かりませんが・・・私の話を聞いていただけますか?」
初めてのこの事態に、該当するのか分からないけれど。
なので私は極力簡単に、要点だけを口にする。
私の世界ではない場所では、どうも滞在時間があること。
そして突然の落下物が助けてくれること。
それぞれの世界での詳しい話はしない。
それは蛇足でしかなく、今回の事態に当てはまるか分からないからだ。
(中々殺されないことも)
(見られなければ気づかれにくいことも)
それはあくまでも私の体だった時の話。
こんな平和そうな場所じゃ、そこまで危機的状況に陥ることもないと信じて。
日本は世界的にも有名なの。治安が良いって。
殺す、殺されるなんてもうお腹いっぱいだから!
「・・・なんで、ここがお前の世界じゃないって言える?」
シャマルさんの言葉に私は首を振る。
「私が『私』でないのなら、世界が同じとは言えないでしょう?」
大きな異常。
とても許容できない事態。
綱吉君の世界を歪める訳にはいかない。
この居場所は彼のものだ。
この世界は彼のものだ。
勘違いしちゃいけない。
「私の意志以外、私を証明できない。それは理由になりませんか?」
戻れたのなら、やらなきゃならないことがたくさんある。
ここに私も存在していたなら、そんな私の用事に綱吉君を付き合わせられない。
私の世界に、彼を巻き込むわけにはいかない。
「・・・お願いします。綱吉君の世界を守る為の力を下さい。
何があったのか分かりませんけど、こんな形で彼の生活を壊すなんて、私も許せることではないんです。」
だから、戻ってきた彼が平穏に笑えるように。
そのための情報を、協力をお願いします。
シャマルさんは目を細め、右の掌で顎を撫でて沈黙。
リボーンくんはこっちに視線すら向けてくれてない。指先で帽子の鍔に乗っているレオン君を撫でている。
ともかく、間が。
あのー・・・
・・・私、結構大真面目だったんですが。
「おもしれぇな。」
ポツリともらされたリボーンくんの言葉。
ええ、まぁ。愉快でもなんでもいい。
「おいおい、ボンゴレの危機じゃねぇのか?」
「ダメツナが勝手に乗っ取られたかどうかでアイツの仕置きが決まるけどな。
中身が違う人間ってゆーのはまず間違いがねぇ。なら―」
「・・・なら?」
聞き返す。
「これを利用しねぇ手はねぇな。」
レオン君の視線とかち合った。
あれ? 君、同情してない?
「あの、これ以上の重責は、勘弁願いたいんですが。」
「おめーに拒否権があると思うのか?」
言われて私は思わず視線を吹っ飛ばす。
先ほどの沈黙と同じほどの間を置いて、結論。
・・・ねぇわな。
「・・・堅実なフォローだけでもお願いします。
期待に添えるかも分かりませんが努力はします。」
「安心しろ。マフィアは女には優しくするぜ。」
・・・なら拒否権をくれ。
top
back
next→
2009/04/18
シャマルにドクハラさせたいがために性転換させたと言えなくも無い。(うわ)
よろしければ ぷりーずクリック☆
退出 : google Yahoo!