19:復活夢D






 復活夢 --19





踵を床に叩きつけるようにして歩きながら、彼は自分に宛がわれている部屋を目指す。
先程の会合の場で机を一つ叩き潰したというのに、覚えた苛々は晴れていない。
ああ胸糞が悪いと、窓から差し込む陽光にすら悪態を吐きたくなる。
机と共に場の空気も圧壊したが、とりあえず、果たすべき用立ては済んだのだと彼は解釈する。
自分があのような行動をすることなんて、同席した忌々しいあいつも分かっていただろうからフォローの必要はない。

自分がする気は更々無いが。

この場合、直属の馬鹿どもを使わずに済むと言う意味だ。
嫌がらせに向かわせてもいいが、関わるどちらも嫌がらせをする価値もない。
だから苛々だけが澱のように残り、向かう矛先もなく彼の腹の内を粟立たせる。

そこで彼は自分の部屋に辿り着き、その扉の前で眉をしかめた。
しかと閉めたはずのそれが薄く開いていたのだ。

そんな不躾な侵入者が存在しているなんて。

内か外かは知らないが、燻る感情を発散する対象を見つけたと、彼は笑んだ。
そして腰に差してある己の愛銃を軽く意識しながら、彼は部屋の中へと歩みを進めた。

足音を殺して歩くぐらい、呼吸に等しくできる。
気配を無くすぐらい、眠る事と同じに当然だった。

暗殺の術ほど肌に馴染んだそれはなく、忌まわしきアイデンティティでもあり、心地よい礎でもあった。
幾重にも重なり絡む意思と感情と理性の齟齬が、荒ぶる己の炎の坩堝だと知っている。
だからこそ、それを吐き出す争いの場に心が沸くのか。
間抜けな侵入者に対して期待は無駄とも思うけれど、暇潰しくらいにはなってくれと彼は密かに思った。


…まぁ、侵入してみせた当人は置き土産を残して既に立ち去っており、また取り残された彼女はこの部屋の持ち主も知らないのだ。
彼が期待するようなシリアスな展開には絶対にならないのだが。


それを彼が知るのは今より10秒後。













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2010/12/24

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