20:復活夢D
復活夢 --20
ふわふわ。ふわふわ。
暖かい夢だ。
空調が効いている室内では、滅多に寒暖のことでストレスを感じることはないんだけど。
やっぱり暖かさとなると別。
羽毛布団にくるまっていた、人間だった頃が懐かしい。この暖かさは懐かしめる。
うあー 惰眠最高。
なんか忘れてる気がするけど、まぁいいや。
眠いから寝る。贅沢だ。
でももう少ししたらご飯の時間だ。そしたら起きなきゃな。
あー…でも気持ちいい…ねむねむ…
『……ベスター、それはなんだ。』
意識の遠いどこかが誰かの声を受信した。
聞き覚えのない声だなぁ。
何かお困りですか? おねーさんに教えてよ。
ははは、力にはなれないけどさ!
けらけら頭の中で笑いながら、私は寝返りをうつ。
ぼてんっ
そうしたら、ふわふわな寝床から頭が落ちた。
衝撃に眠気が急速に晴れていく。
ああぁ…心地よい夢の狭間が遠のく!帰ってきて!
『…ベスター』
先程よりもクリアになった男の人の声にバチリと目を開く。
同時に前足を着いて体を起こす。
だっ 誰だ!? ここはどこ!?
夢現が曖昧な私が必死になって薄暗い室内に目を凝らしていると、何かから前に押しやられて、私は床を転がった。
転がっていて回る視界に見えたのは、私を一口でいただけそうな白いライオンさん。
あーそうそう。確か瓜さんにこのひとのところまで連れてこられたんだ。
目的がわかんないんだった。
「わふっ」
えーっと、おはようございます
一応挨拶をしたら、ライオンさんはべろりと私を舐めた。
き、き、肝が冷えたぁぁぁ! 喰われるかと思った!
早鐘を打つ心臓を内心で叱咤している私を見下ろしている彼は、その視線を私の後ろにふいと向けた。
何かを注視しているようなので私も慌てて振り返ると、そこには気配無く佇む男の人が。
そっちもこっち見てるし!
あ、さっきの声はこの人か!
合点はいった。恐らくこの人はこの部屋の主というわけか。
それで、留守の間に侵入して昼寝ぶっこいていた私を、なんだコレはと見下ろしていたんだろう。
当然の疑問だ。私に答える術がないから、どうにもこうにもならないんだけどね!
「わうぅ」
お邪魔してます、お兄さん。
一応挨拶をし。そして私はライオンさんへ顔を向け直す。
「わうわう!」
広間に帰らないと、もうご飯の時間です!帰り方を教えて下さい!
私の訴える声に、彼の視線が私へと向けられる。
紅い綺麗な瞳を私はドキドキしながら見つめ返す。
部屋の人間に言葉が通じないんだから、自然と訴えるべき対象は彼になるのだ。だから彼を頼る他は無い。
…廊下に飛び出して、根性で探すのも手段っちゃ手段だけど、それは最後の手段だ。
帰巣本能は期待できないから、それはホントに最後!
わしっ
期待を込めて泣き落としをしようとしていた私の胴が、何かに掴まれた。
何かって、後ろのあの人しかいないわけなんだが!!
「ひゃう!わわう!」
ぎゃー!強い強い強い!中身が出る!中身が!!骨折れる!!
持ち上げられる際の手からの圧迫に、全力で叫ぶ!
「ぅぅぅぅ、うわぅ!」
殺す気か!殺す気か畜生!畜生は私だか馬鹿野郎!子犬の扱いには気を付けろ!
彼の顔の前に私はいるわけだが、関係あるか!
けろっとした顔してるってことは、その握力は平常か!ふざけんなー!
『…ベスター、なんだ?』
ふと、彼の力が弛められた。
喚き疲れた私はぐったりとしながら、目の前の精悍な顔つきのソイツ(敵意の表れ)を眺めた。
黒い髪に、派手な羽飾り。
でっかい傷の目立つ顔だけど、きっと見えない傷だって脛にあるお人だろう。
薄い唇とナイフみたいな鋭い目は、通った鼻筋と共に精悍な顔立ちを造り上げている。
…ベスターって、もしかして固有名詞? ライオンさんのことか?
私の後ろにいるだろうライオンさん、もといベスターさんに同じ紅い瞳を向けている彼を見上げて、私は次のアクションを待つ。
待つしかないし。ベスターさんの様子もわかんないし。
「………好きにしろ。」
んな!日本語!!?外人100%なこのにーさんから日本語が飛び出すなんて!
っていうか、ひょっとしてこの人はベスターさんと意志疎通ができてるのか?
…いいなぁ。私もハヤトさんと意志疎通できるようになりたいなぁ。
羨んでいたら、お兄さんが腰を折って私を床に下ろしてくれた。顔に似合わず丁寧だったことにびっくりだ。
…吠えたのは悪かったよお兄さーん。
「…きゅーん…」
えーと、お邪魔しました。
「ちょっとボス〜、聞いたわよ〜!」
お座りして滞在の礼を言おうとしたら、おネエ言葉が被さってきた。
まだ一部屋向こうにいるだろうその人は、スタスタと足音を鳴らしながらこちらへと近づいてくる。
彼は、通りすがりに照明のスイッチを入れてくれたのか、部屋の壁際にある数本のランプシェードに穏やかな暖色の明かりが点る。
改めて、お兄さんをみると、堅気じゃないなぁと再認識。
火薬の臭いするしな。うん、分かってた!
…さて、訪問者はどんな人なんだ?
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2010/12/24
誰かは明記しません。part2 わかるよね!
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