16:復活夢D
復活夢 --17
「おや」
転がっていたボールで遊んでいた私に届いた声に振り返ると、そこには黒いスーツを着たお兄さんが一人。
「確かコレは…アルコバレーノが言っていましたね。」
濃紺に近い黒髪のお兄さんはそんなことを呟きながら私の前で片膝を着く。
コレ呼ばわりとは心外だが、見上げた彼は随分と整った顔をしていて、しかもオッドアイだ。とても綺麗な瞳をしている。ちょう美人。
ハヤトさんも美人系、沢田さんは可愛い系、リボーンくんは格好良いし。ホストクラブかよ。
そんなことはともかく、この人が言っていた『アルコバレーノ』って誰だ?
「わう」
はじめましてー
「利口だと聞いていますが、本当に頭がいいんですか?」
「わうぅ」
普通の犬よりかは知能が高いと思いますが。
こっちをぐりぐりと撫でてくる手に押し負けないように力を入れながら、私は返事をする。
通じないとは思うけど。
「…ふむ。」
何かを思案する呟きに、私は彼の手の下から頭を救出して彼を見上げた。
綺麗な瞳がこっちを見下ろしてくるのを見ながら、横目で彼の右手に槍が握られるのを見た。
気のせいかな。
槍の切っ先、こっちに向いてない?
―ドスッ
咄嗟に身を翻した私の隣で鈍い音がした。
これまた横目で見た限り、さっきお兄さんが握っていた槍が床に突き刺さっているみたいに見えたんだが!
こっ 殺す気か!
「おや、大丈夫ですよ。痛いのはほんの少しだけです。」
「わわう!」
大丈夫な要素はどこだ!?人サイズならともかく、子犬の体な私だと致命傷だ!!
自慢じゃないが身を守る術なんか持っていない。足も遅いしね。
んでもってこの人がいきなり攻撃してきた意味も分からないし。
口で説き伏せるのも不可能だ。リボーンくんは確か暗さ…んんっ…仕事だと言ってた。訳して貰えなきゃ意志疎通は不可能だ。
これは…絶体絶命か?
「うぅー、わん!わん!」
ここのマフィアさんはみんな優しいと思ってたのに!動物虐待なんて人間の風上にも置けないよ!恥を知れ!恥を!
「…何を言っているのかは分かりませんが、人でなしで結構。」
若干通じたことを喜ぶ前に、お兄さんが槍を振りかざしたという現実が問題だ。
「ボンゴレと契約するための駒になって―」
「ふぎゃあぁぁぁ!」
― ざしゅぁ!
お兄さんの言葉を遮って、威嚇の鳴き声が降ってきた。
…気のせいじゃなきゃ、鳴き声の主がお兄さんの顔面を斜めに通り過ぎ、その瞬間、彼のお顔に赤い線を残したような。
軽い音を残して床に降り立ったその姿に、私は叫ぶ。
「わう!?」
瓜さん!?
「うにゃぅ!」
返事は嬉しいが相変わらずわからん!
彼(彼女?)はハヤトさんの…兵器、らしい。
初めましての挨拶は「済み」だ。
尻尾をゆらゆらと揺らした瓜さんは私に近づき、そして私の首の後ろに噛みついてくる。
そして浮游感。
あ、これが運搬されるってことか。
首を噛まれているが痛くはないし、若干高くなった視界には先ほどのお兄さんが少し驚いているのが見えた。
そして瓜さんは走り出した。
うぉぉぉっ揺れるー!
っていうか、ドコ行くんですかー!?
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2010/09/16
ちなみに、飼い主は不在中
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