13:復活夢D






 復活夢 --13





『日本犬の事を知ろうって思い付いた時に取り寄せた資料に、「忠犬ハチ公」ってのがあったのが余計に悪かった。ありゃぁ逆効果だった。
 読んだ奴が片っ端から男泣きしやがって、しまいにはなんて言い出したと思いやすか?
 「ハチ公は二度と会えないけど、コイツは会えるじゃないっすか!頼んます!ハヤトさんに会わせてやってくだせぇ!」―だ!開いた口が塞がりませんでしたよ!』
『あいつら、それであそこまで過剰に泣いたのか。』
『そこで自分もほだされた時点で同類なのは分かっていやす。一週間も健気にドアの前に座り続ける姿をこれ以上直視しきれませんで。遊ばせりゃ忘れるかと思っておもちゃをやっても、五分くらい遊んで、後はそのおもちゃと一緒にドアの前。
 寝る場所をドアから離れた所にしてたら、毛布を引っ張り出してドアが見える場所に移動。朝と夕方の二回だけ切な気に鳴く。』
『…苦労したみたいだな。』
『お陰様で、一週間で五キロ減で。ハヤトさん以外には有効なダイエットですよ。
 図らずも健康体重になりやした。』
『…ルチーア…ちょっと待て。』
『流石のお察しで…しかし黙りません。
 重ね重ね無礼とは存じ上げますが、お願いがございやす。任された身でありながらご命令に背く頼みで情けなく、恥知らずとは思いますが…何卒、あの犬を、引き取っては貰えねぇでしょうか?』

長いルチーアさんの話が途切れ、ハヤトさんも押し黙って沈黙が広がった。
私の今いる位置からルチーアさんは全然見えないので、とりあえずハヤトさんの様子を伺ってみる。
なんか刺々しい…?なんだ、何の話をしてるんだ?

『ルチーア』
『―へい。』
『俺の指示を、お前が突っ返すのか?』
『そうなりやす。』
『いい覚悟だな?』
『反抗心や敵対心の挫き方や懐柔の仕方は知っていやす。ですが、こっちを見向きしないほど厚い忠義をどうこうする術を、私は知りません。言葉が通じねぇなら尚更で。』

そこで話が途切れ、ルチーアさん側から小さく口笛の音が聞こえた。
振り返ってみればこちらを覗きこんできているルチーアさんと目が合う。
手を差し出されているということは、私は呼ばれたのか。
すぐにハヤトさんの足から飛び下りてルチーアさんのところへと走り寄れば、その手に掬い上げられる。
ハローハヤトさん。目が合いましたね!

『馬鹿じゃねぇんですよこいつは。トイレも餌場も寝床も一度で覚えやしたし、こっちが呼べばちゃんとくる。短い時間ですが、私らはそれをよーっく理解しました。そんな奴が頑なに譲らないってんですよ。
 こいつの直向きさはうちの部下共には有り得ねぇくらい良い薬になりやした。こいつに何か返してやろうと思ったら、こうして貴方に頭を下げることしか思い付きやせん。』
『わかった。』

私を膝の上に抱き上げたまま話すルチーアさんの言葉を、ハヤトさんが遮った。
彼の険しかった眉間のシワが浅くなり、そして苦笑するように口の端が歪められた。

『………わかった、連れて帰る。―ただ、俺は普段家には滅多に帰らない。だからこんなガキの面倒をみるとなったら、本部に連れていかざるを得なくなる。』
『…』
『その時にこいつが邪魔だと判断されたら、問答無用でここに返す。それでいいな?』
『…勿論で!』

ルチーアさんは言って頭を深く下げた。
何やら、私についての話がまとまったようだった。

どうぞ私にとって良い話でありますよーに!













top  back  next→




2010/01/29

 言葉が通じないって不便! 携帯で打ったので短いです。


  よろしければ ぷりーずクリック☆









退出 : google Yahoo!