12:復活夢D
復活夢 --12
ドアが開かれるのを見つめていた私は、そこに現れた綺麗な銀髪を持つ青年を見て思わず全力で駆け寄った。
『―と、あぶねぇな。なんだ、元気じゃねーか。』
足元をチョロチョロされたら歩くのに邪魔だと思うが、今は関係ない!今度こそ逃がさん!
苦笑したハヤトさんが腰を折ってこっちに伸ばしてきた手に、勢いを付けて飛び付く。
期待通りに抱き上げられて私は思わず笑った。
『…うっ…うぉーん!』
『うぅっ!良かったなぁワン公!』
『ズズッ―クソ!泣ける!』
突如沸き上がった嗚咽混じりの歓声に、ハヤトさんが思いっきり引いたのが分かった。
いい歳したオッサンたちが一斉に泣き出したらそりゃあビビるとは思う。
私だって引いた。
『………ルチーア、てめぇまでなんだ、この状況は?』
『へへっ、揃いも揃って情けない所を…すいません。
お前等もとっととシャンとしやがれ!』
『へい!』
『説明は?』
『この事を含めて話すとちょいと時間がかかりやす。
あちらの部屋にお食事の準備が整っています。よければそちらで。』
『…わかった。貰おう。』
そしてハヤトさんは案内された部屋へと進んでいった。
私が抱かれたままなので、こちらとしてはオールOK!
部屋にはついさっき運ばれたばかりのピザの良い匂いが漂っている。
用意されている椅子にハヤトさんが座ったところで、ルチーアさんがワインの栓を開けてグラスへと注いだ。
そこで私を抱いたままということに気付いたのか、ハヤトさんの手から床へと降ろされた。
想定内だから私は慌てる事もなく、組まれているハヤトさんの足の、床に下ろされている方に自分の体を乗せた。
「………」
机の下のコチラにハヤトさんの視線が向けられるのを感じるが、作戦だから別に!
『その犬がそんなに喜ぶ姿を、私らは初めて見たんですよ。柄にもなく感動しまして。恥ずかしいかぎりで。』
『感動するほどか?』
『ええそりゃもう!あの日リッツォがこっちに連れてきてから、アイツは四六時中入口のドアから離れませんでね。開いた瞬間に飛び出すんじゃないかって気を付けてたんですが、アイツは出ていかない。開けっ放しにしても。
ディクスが言ってた通り利口な奴だって私らは感心したんですが、出ていかねぇってなるとドアに張る意味が分からねぇ。で、よく見てるとどうも誰かを待ってるんじゃねぇのかって話になりましてね。コイツと初めて会ったのはディクスだから、とりあえず入院中のアイツをいっぺんここに連れて来てみたんだが…特に反応はなかったんですわ。
あの時のディクスの落ち込み様は笑えたんですが、結局アイツが待ち伏せる意味は分からねぇ。そこでリッツォが言っていた、コイツを車に乗せてた初日、ハヤトさんと別れる時の反応を思い出しやして。』
『…マジか?』
『マジです。それでアイツがミルク飲んでる時に、冗談半分で「ハヤトさんようこそ!」って言いながらドアを開けたら、信じられない早さですっ飛んできまして。』
『………』
『今度はコイツが目に見えて落ち込んじまって、ありゃあ悪いことをしたと反省しやした。部下達の態度があんなに冷たくなったのは生まれて初めてですよ。新鮮だったが、二度と御免です。』
『遊んでんのかテメーら?』
『いやいや、飼い主探しももちろん。ただ話が欠片も出てこないもんで。成犬をっていうのはあったんですがどう贔屓目に見たってコイツはガキだ。範囲を倍に広げても収穫は無し。ペットショップから盗まれた話もねぇ。八方塞がりで。』
「…お前、何やってんだ?」
突然投げ掛けられた日本語に私はギリギリまで顔を上げてハヤトさんを見上げ、そして一声鳴く。
「ヒャン!」
ごめんね!私の都合!
反省はしていない。私の粘り勝ちだし!
あ、ハヤトさん溜め息を吐いた。
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2010/01/29
粘り勝ち。ねばーねばー 携帯で打ったので短いです。
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