03:復活夢D






 復活夢 --03





そんなに大した距離をいかないところで、おじさんはおもむろに脇にあった扉の中へと体を滑り込ませて行ってしまった。
しまったと思うが…仕方がない。走って追いかけただけあって私もかなり疲れている。
休む間だけおじさんが出てくるまで待ってみよう。
短く繰り返す呼吸を落ち着かせるために、私は冷たい石畳に腹を付けた。

…今はまだそんなに大それたことになってないけど、このままだと私、人間の大事な尊厳とか失いそう☆
ハハハ、洒落になんない。
犬として迎えるだろう近い将来の生理衝動を考えてしまい、思わず遠い目をしてしまう。
ハハハ、人間…開き直りが肝心よね?

あれ?なんか泣けてきた?

…ん?なんか、言い争うような声が聞こえたぞ。
軽く絶望にうちひしがれていた自分に届いた声に、顔を扉の方へと向ける。

やっぱり、堅気の人じゃない?

 ガッシャーン!

 ドサッ

うっおー!びっくりしたぁ!!
扉の向こうにあった窓から人が飛びでてきた!
道路に背中から落ちてきた所を見ると、飛び出たのはきっとこの人の意思じゃないんだろう。
よく見たらここに入っていったおじさんで、しかも両太股から出血している。
傷口を見る限り…ナイフか何かかな?

『…くっ…待ちやがれ糞ガキども!!』

なんとか上半身を起こしたおじさんが大声で怒鳴るが、割れた窓の向こうからは頭悪そうな複数の笑い声が返ってくるだけだった。
…今この人なんつった?

『考え無しの阿呆が!揃いも揃って殻のパンツに糞ちびりしやがったのか!?余計な手間かけさせんじゃねぇよ童貞共!』

…なんつったのかはわからないけど…十中八九、罵詈雑言かな。
髭も生やしているナイスミドルの罵声に思わず視線が飛びそうになるが、そこは切り替えていこうか。

「―ヒャン!」
もしもし、大丈夫ですか?
『い…犬?なんでこんなところに…』

あれだけ叫んでいたんだ、今は命に別状はないだろう。出血が続いたらヤバイだろうけど。
不思議そうな顔でこちらをじっと見つめてくるおじさんへ近寄り、その青い瞳を覗き込む。
さて、さっきまでこの人が持っていたアタッシュケースが無くなっているみたいです。笑っていた人たちに奪われたのかな?
ここでこの人の為にできそうなのは二つ。一つは誰か人を呼んでくる。もう一つはアタッシュケースを追いかける。

「ヒャン」
どうして欲しいですか?できれば頑張って私の質問を察してくださいな。

『この面…ジャポン犬か?』
「ヒャンヒャン!」
ジャポン!?今日本って言ったねおじさん!

『こいつら命令に忠実とか言ってたな…侍魂か?』
「ヒャン!」
サムライって言ったね!

『…よ、よし!追いかけろ!』
「クーン?」
わかんないよおっちゃん!せめて英語!英語プリーズ!

『いいか?追いかけるんだ!行け!それで奴等の居場所を探れ!ニンジャドッグ!お前はやればできる!ヤマトダマシーをみせろ!』
「…」

忍者犬?大和魂?
…意気込みは伝わるからせめてジェスチャーを…

「Go! Run after it!」

あ、わかった。今のは「追いかけろ!」ね。
しょうがない…やれるだけやったるわ、おじさん!
了解ともう一度鳴いて、私はすぐ隣のドアにあったネコ用の入口へと飛び込んで行った。












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2010/01/21

 『』はイタリア語な気分。携帯で打ったので短いです。


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