6-7:番外編





「ところで少年、聞きたい事があるんだけどいいですか?」
「どうぞ。」
「この街の名前は、なんていうのかな?」
「・・・ここはケテルブルグ。」

そんなことも知らないでここにいるのかと、まるで阿呆を見るような視線で少年はを見上げた。
見られたは、その視線の色には気付かずに手帳を捲りながら相槌を打つ。

「へー・・・っていうと、ここはマルクトなんだね。」

言葉に含まれる意味を汲み取り損ねて、今度は少年が問いかけた。

「まさか、あんたキムラスカ人なのか?」
「えー、違うよ。そんな非現実な。」
「・・・・・・」
「じゃあさ、リサイクルショ―・・・じゃなくて、使わなくなった物とかを買ってくれるお店とか知ってる?」
「知らない。」

「そっかー・・・じゃあ、この街で一番安い宿とか。」
「なんで僕に聞く?」
「袖すり合うも他生の縁って言うじゃないですか。
 まぁ・・・それは冗談だけど、ちょっと頼れる人がいなかったからですよ。」

「・・・・・・」
「ま、いいや。
 ところで少年、本は好き?」
「なんだよ急に。」
「実は私文無しだから、助けてもらった御礼にでもいかがかな?っと思ったわけ。
 別にお菓子も持っているんだけど、君は知らない人から飲食物を貰うような子っぽくないからコッチで。」

言いながら鞄から本を取り出し、は少年へと差し出した。
怪訝な顔をする少年の体に本・・・もとい辞書を差し出して、は少年に無理矢理押し付ける。
そして押し付けられたそれを凝視する少年の頭を軽く撫で、改めて笑う。

「お互い無事でよかったねということで。
 煮るなり焼くなり好きにしてね。」

言っては街へと歩みを進めた。

「じゃあ少年君もちゃんと家に帰るんだよ。私も宿を探しに行きますからねー。
 その本のことで聞きたいことがあったらいつでも聞きにおいで。」

頭上でひらひらと、寒さにかじかんで赤みを増している素手を振ってそれが別れの合図だと示す。
少年は他人に干渉される事を嫌う人間で、自分だって内心に踏み込まれることを好く思っていない人種だ。
だからこんな別れ方でもいいと思う。



ちなみに、彼にしてみればわからない所まみれの辞書を渡した理由は、彼の態度に対する報復だということを追記しよう。
利口な子供は好きだ、利口じゃない子だって好きだ。


だから私は、そんな子供達に小利口な生き方をして欲しくない。













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2007/03/20

 これが私の愛の形だ。悩め青少年!


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