拍手より



落下地点 -- TOV? -- 




※ なりきりコスチュームの彼らと遭遇 ※


 ユーリ → 深淵の黒焔
 エステル → ユリアの継承者
 レイヴン → 神託の盾騎士団主席総長
 フレン → ローレライの剣士





「しっかしこれは随分着込むな…」
「反対にフレンは薄着ですね。」
「ははは、たまにはこんな格好もいいもんだね。
 ユーリはいつもそれぐらい着ていてもいいと思うんだけど…」
「じゃじゃーん、おっさんはどう?渋い?」
「あ、はい。レイヴン格好いいです。」
「黙ってりゃな。」
「ぐはっ きっつい一言!
 …青年達は随分派手な頭になってるねぇ。」
「エステルは落ち着いているけどな。」
「ユーリは赤い髪も似合いますね。」
「動くたびに赤が見えて落ち着けねーんだけどな。  …ん?」


ユーリが正面に視線を上げたすぐそこには、黒い髪に黒い目をした一人の女性が立ち尽くしていた。
彼女はユーリたちをガン見し、わなわなと震えている。
様子がおかしい。


「てぃ ティアさーーーん!?」
「え、きゃあ!」

訝しげに眺めていたら、突如彼女は走り出してエステルの片腕を掴んだ。

「どうしたんですかその髪は!?
 切ったんですか!? 切っちゃったんですかあの美髪を!!」
「い、いいえあの、」
「だいたい、ルークくんはともかくなんでアッシュさんとヴァンさんと一緒に歩いているんですか!
 しかも和気藹々と!! 私、何がなんだかわからないんですが!?」
「お、落ち着いてください。」

エステルの言葉に、彼女はその表情を曇らせて悲しそうな顔をした。

「そんな…他人行儀な…」

今にも泣き出しそうな表情にあせったのはエステルだ。

「あの…どなたかと勘違いされていませんか?」
「ティアさん…じゃないんですか?」

目を瞬かせて聞き返してくる言葉にエステルは大きく頷く。
一瞬驚いた顔をする女だが、先ほどよりかは落ち着いたようだ。

「そういえば、なんか…」

エステルからユーリに視線を移した。
つま先から頭のてっぺんまで注視し、一言。

「おっきいし…」

次にレイヴンに。
同じように全身をくまなく見つめて一言。

「ちっさいし…」
「…うぐっ」

これは地味にレイブンの心を突き刺したようだ。
掴んだままだったエステルの腕を放して、女は数歩後ろに下がる。

「…す…すみませんでした…」

そして頭を下げた。
どこか寂し気な様子に、ユーリとフレンは軽く視線を合わせる。
何か訳ありのようだ。

「いえ、気にしないで下さい。
 ティアさんは仲間の方です?」
「は、ハイ。一緒に旅をしていたんですがはぐれちゃってて。」

頭を上げた彼女の簡単な現状説明に簡単に納得する。
なるほど、思わず縋るわけだ。

「…あの、今皆さんがされている格好は、どうされたんですか?」


「…」
「…」
「…」
「…ええと…」


各々が返答に詰まった様子に気づき、彼女は軽く手を振って笑う。

「えー、すみません。答えにくいのならいいんです。
 突然申し訳ありませんでした…」

再び下げられた頭に苦笑する。

「気にすんな。仲間が早く見つかるといいな。」
「…ハイ。」
「もし不安なことがあれば騎士団に相談してください。」

フレンからの言葉に、女は目を丸くした。

「…き、騎士団? どこの?」
「この町は帝国の町ですから、騎士団の建物がありますよ。
 せっかくですから案内しましょうか?」

数歩前に進んで女に笑いかけるフレンだが、対する彼女の首は斜めに傾げられた。

「………帝…?…………!?」

ザッと女の顔色が変わった。
焦りと、恐怖が混じったようなその表情にユーリたちも思わず押し黙る。

「っ わ、わわわ! わかりました!
 しばらく町をうろついてみます! 探してみます!
 もしまた間違っちゃったらすみません!! では私はこれで!!」
「あ、君!」

フレンがかけた声を背に受けながら女はユーリたちから走り去る。

「本当ーに、すみませんでしたー!!!」
「おい!前見ろ、前!!」

無理やり上半身を捻って叫ぶ姿に、ユーリも大声を張り上げた。
叫びもする。
彼女の進行方向には、海を望める柵があるのだから。

だというのに、彼女は速度を落とさない。



  ――― ガッ !


「あいったぁ!!」

彼女の体が柵にぶつかり、その体は勢いに乗って傾ぐ。
柵に沿って腰を折るだけならともかく、足まで浮いた。

「!!」
「― クソ!!」

フレンとユーリが駆け寄るが、彼女の体が滑り落ちるほうが早い。



「あぁぁぁ!! すみません大丈夫です  ぅ  ―」



柵の向こうから叫ばれる内容に何が大丈夫なんだとツッコミを入れたくなるが、彼女の声の語尾が消えたことでそれは実現しない。
彼女が落ちたというのに、ぶつかるような音も水音も、何も聞こえなかった。
駆け寄った二人は柵から身を乗り出して下を確認するが、そこには何もなかった。

思わず二人は顔を見合わせる。
確かに彼女は、ここから落ちたはずだ。


はずだった。


「………なんだったんだ、あいつ…?」
「…一応、団員達に下を捜索させようか。」
「いや〜、多分無駄なんじゃないの?」

彼らの後ろにたどり着いたレイヴンがぼやく。
一応と提案したフレンも、それに心のどこかで同調した。



彼女が誰なのかは、結局謎のままだった。















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(2010/03/10〜11/17)
連載主人公さん、TOVにプチトリップ。


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